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2006年3月11日 (土)

御家人斬九郎(ドラマ)

娯楽時代劇の最高傑作に私は位置付けている。
斬九郎(本名は松平残九郎)は、独眼竜政宗(NHK大河ドラマ)を超える
渡辺謙の嵌まり役。
人間臭い男、迫力のある声、説得力のある演技。うまい俳優だ。
蔦吉(辰巳芸者の蔦吉姐さん。元は武家の大沼たえ、だったかな)。
艶やかさと上品さとかわいさを若村麻由美が好演。
踊りが格好よく決まり、和服が似合う美人だなあ、と思っていたら、
女優になるより前に既に日本舞踊のお師匠さんの資格を取っておられたとか。
斬九郎の母、麻佐女さま。
お茶目でありながらキリリとした武家の女を岸田今日子が渋く演じている。
なんとも憎めない、かわいいお母さま。
その他のキャスティングも味のある俳優揃い。

第1と第5シリーズ(最後のシリーズ)は全話見たが、第2から第4シリーズは
ほとんど見れていないのでDVD-BOX化を切に望んでいるのだが...。
かつて斬九郎の某ホームページで呼びかけていたDVD化署名運動にも参加し、
一日千秋の思いで待っている次第。
どう考えても駄作としか思えないドラマが簡単にDVD化される中で、何故に...。
無念極まりない。

全シリーズの最終回、冒頭シーンは現代の映像で始まる。
最初それがわからず首をかしげたが、揺らめく水面にカメラが切り替わり
徐々に江戸末期へとタイムトラベルしていく表現を理解できた。
ところどころ矛盾点もあったが、最終回の脚本、なかなかよくできていたと思う。
例えば、切腹させられた斬九郎の兄、与一兵衛(漢字合っているかな?)の
「人となり」を説明するシーン。
約束を取り付けた伝三郎自身が忘れていたにもかかわらず、それを違えることなく
手ずから作り上げた木刀を贈ってくれる誠実な人であった、
と伝三郎が想い起こすのだが、具体的なエピソードを挙げることで与市兵衛の
キャラクターに厚みを加えていた。

泣かせる台詞も随所にちりばめられていた。
・与市兵衛切腹の件についてこれ以上詮索するな、と諭す伝三郎たちに対し
怒鳴りつける斬九郎!
・我が子が殺されるとわかっていてみすみす行かせる親がいるものか、
と代わりに敵方へのり込もうとする麻佐女に当て身をくらわし、
親が殺されるのを看過ごす倅(せがれ)にはなりたくない、とつぶやく斬九郎。
・大局のため兄の死を忘れろ、と恫喝する山崎努に対し、
「断る」、「そんなもん糞くらえだ」と取り合わない斬九郎。

「最後の死闘」は文字どおりの死闘だった。
うじきつよしの銃さえなければ...。
撃たれた場所、出血の量を考えると生き残るのは難しいように感じるが、
蔦吉がたどり着いた時の斬九郎の顔にはまだ血の気があったように見えたので
生き残ったと考えたい。
実際、エンディングで蔦吉が「おまえさん、やっとくれ」と声をかけた車夫は
角刈りになった渡辺謙だったので、生き残って蔦吉と夫婦になったと信じたい。
(明治維新のシーンは夢とは思いたくない。)
ラストカット、麻佐女さまがステーキをほおばるさまはお約束のシーン!

申し込み者のみの限定生産で良いからDVD-BOX化してくれないかなあ。
「シリアスな場面」と「コミカルな場面」をバランス良くまとめた
素晴らしい娯楽時代劇であることに違いはないのだから。
野暮(もしくは不粋)なドラマが多い中で、斬九郎は本当に粋な時代劇だった。
後世に遺すべき秀作。とにかく、誰でもいいからDVD-BOX化を!

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